第二波 2015 8 23
実に、教科書どおりの作戦である。
力で押してダメならば、懐柔策に出る。
つまり、軍事的なパワーを誇示して通用しないならば、
今度は、情報工作や懐柔策を行う。
これが、ここ数年の中国の動向である。
アメリカ軍は、4軍体制である。
陸軍、海軍、空軍、海兵隊。
実は、中国も、4軍体制である。
陸軍、海軍、空軍、情報工作部隊。
私は、何年も前から、
日本エリートの弱点は、
「軍事に疎いことである」と書いてきました。
欧米エリートの場合は、
たとえ、平和主義者でも、
ある程度、軍事的な知識を持っているのです。
実は、日本エリートの弱点は、
まだ、あるのです。
それが何かというと、
諜報活動の重要性を認識していないのです。
こうした諜報活動(インテリジェンス)というと、
多くの日本人は、
相手国から秘密情報を取得するものだと思っていますが、
これでは、もうひとつの大きな柱を見落としています。
この大きな柱とは、何か。
それは、「宣伝活動」です。
これも、諜報活動(インテリジェンス)のひとつです。
世界に対しては、自らが有利になるように宣伝工作を行い、
相手国に対しては、相手国が「友好的」になるように、
工作員を潜入させるだけでなく、
協力者の養成や便宜の供与などによって、
「友好的な雰囲気」を作り出してもらうのです。
このように、情報工作は、非常に重要であり、
陸軍、海軍、空軍とともに、
4軍体制に位置づけをすべきです。
つまり、陸軍、海軍、空軍、情報工作部隊です。
理想を言えば、陸海空軍並みに、
人員も予算も、情報工作部隊に配置すべきですが、
現在の財政を考えれば、それは難しいので、
日本国民の多くが、諜報活動(インテリジェンス)の中に、
「宣伝工作活動」というものがあり、
相手国に工作員を潜入させ、
さらに、協力者の養成や便宜の供与などによって、
人工的な「友好の雰囲気」を作り出す作戦があると認識するだけでも、
大きな効果があります。
(参考文献)
書名 中国外交の大失敗 来るべき「第二ラウンド」に日本は備えよ
著者 中西 輝政 PHP新書
二人のルーズヴェルト 2014 8 10
今日も、江崎道朗氏の著書から、興味深いところを紹介しましょう。
アメリカは、この100年、二つの対日政策で揺れてきた。
一つは、「大陸国家(ロシアや中国)の膨張政策の防波堤として、
日本を活用すべきだ」というものだ。
日露戦争の時、セオドア・ルーズヴェルト大統領が、
この「ストロング・ジャパン(強い日本)」政策を採用した。
もう一つは、「強い日本は、アジアの脅威であるばかりでなく、
アメリカの権益を損なう存在だ」というもので、
日中戦争の時、フランクリン・ルーズヴェルト大統領が、
この「ウィーク・ジャパン(弱い日本)」政策を採用した。
(引用、以上)
こうした二つの対日政策とベノナ文書を見ると、
実に興味深いものがあります。
「べノナ」文書(米軍諜報部が解読した旧ソ連情報部の秘密文書)
(以下は、ウィキペディアから引用)
1995年、ベノナ(ソ連暗号解読プロジェクト)が機密扱いをはずされ、
ソ連の暗号通信の内容が明らかになった結果、
ソ連のスパイ行為は、マッカーシーの見積もりよりも、
さらに大規模なものだったことが判明している。
ベノナは、特にソヴィエトのスパイに色々な方法で協力した、
合衆国の市民、移民、そして永住者を含む少なくとも349人の人々について言及している。
マッカーシーは、ベノナ秘密情報への接触はなく、
彼の情報は他の情報源からだと信じられている(FBIのフーヴァー長官からだという)。
ベノナは、マッカーシーにより調査された、
ある人物達が、事実、ソ連のスパイであることを明らかにしている。
たとえば、メリー・ジェイン・キーニーは、
マッカーシーにより単に「共産主義者」とされているが、
実際には、彼女も、その夫もソ連のスパイだった。
マッカーシーにより名指しを受けたロークリン・カーリーは、
ルーズヴェルト大統領の特別顧問だったが、
ベノナによりソ連のスパイであることが確かめられた。
(引用、以上)
マッカーシー(1908〜1957)は共和党の上院議員で、
1950年に国務省に潜む共産党員の名簿を入手したと発言し、
一躍、世界の注目を浴び、
彼の反共産主義運動は「マッカーシズム」と呼ばれました。
(参考文献 ジョセフ・マッカーシー著「共産中国はアメリカがつくった」)